恋に落ちたら
家に帰るとまぶたが腫れている私を見て母は悟ったようだ。
お風呂に入るように言われただけで追求されなかったのは助かった。

タオルを洗濯し、私は部屋で今日あったことを考えながら無意識にラナを抱きしめた。

「早かったなぁ。こんなに早く終わるなんて。でもこれでよかったんだよね」

大きなため息が漏れたが、もう涙は出なかった。
あの彼がいなければ今頃どうやって帰ってきたかわからない。彼と話せたことで少し落ち着くことができた。
悟くんに正直に見たと話したのに彼は否定もしてくれなかった。電車の中で好きと言われたのはついさっきだったのに。
好きって言葉は私にとって、とても大切で簡単に口にはできないもの。悟くんに言われ、すごく嬉しかったし、自分が誰かの1番になれた気がした。
でも悟くんにとっての好きはそんな重いものではなくて、フランクに使える言葉だったの?
悟くんに限ってそんなことはない、と思いたい気持ちがあるが経験値の差なのかと捉えてしまう自分がいた。
恋愛初心者の私にはもう分からない。
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