恋に落ちたら
悟くんの名前をタップするとすぐ発信中と表示された。
震える手でスマホを耳に当てると呼び出し音が聞こえてきた。
何を言うつもりなのかも分からず勢いでかけたが悟くんは電話に出なかった。
あぁ……。
私は項垂れるように電話を切った。
もしかしたらもう呆れてしまったのかもしれない。
心が折れそうになったが、この勢いのまま行かなければこの勇気はまた出なくなってしまう、と思い直し私は駅に向かって歩き出した。
悪いことを考えてしまうの早くない。
傷つかないために自分で勝手に逃げるのは良くない。
一度だけ行った彼のマンションは車で行ったからうろ覚えだが、駅の近くにあった。近くまで行って探してみよう。
やれることはやってみよう、もともと私は行動力があったはずじゃない、と自分を鼓舞した。
< 62 / 80 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop