恋に落ちたら
お互いの唇を確認するように角度を変え、何度も触れ合う。
そのうちに抱きしめられていた手は私の手に絡まり、私の動きを封じられる。
背中をドアに押し付けられ、唇を貪られるように求められる。
そんな荒々しい彼の姿に、求められていると感じ私も彼の動きに合わせ唇を合わせた。
彼だけじゃない、私も彼を求めているとわかって欲しかった。

「みのり……良かった。ここに戻ってきてくれてありがとう」

耳元で聞こえる切ない声にお腹の奥が疼く。

「ごめんなさい。自信がなかったの。あんなに悟くんが私に尽くしてくれていたのをわかっていたのに、女の人といるのを見ただけで勝手に不安になって、傷つきたくなくて、逃げたの。あの人のことは勘違いかもしれないけど、またいつ同じことが起こってもその時に選ばれる自信がなかった。だから傷つくくらいなら離れようとしたの」

「そうか」

「うん……。私ね、傷つくのが嫌だから逃げ出そうとしたけどそんなことできるわけなかったの。悟くんのことが好きなのは止められなかった。もし悟くんが私に呆れて他の人に行くなら私が今度は頑張りたいって思ったから今日ここに来たの。私はあなたに恋に落ちました。私と恋愛してください」

「俺は本当にみのりが好きだよ。大人になってからはみのりと一緒になるために生きてきた。振り向いてほしくて、俺を好きになってほしくて仕方なかった。でもそれは叶ったんだな」

優しい眼差しで私を見つめる彼の表情を見て、ようやく私も手の震えが治まってきた。

「いつでもみのりに誠実でありたい。それは絶対に揺るがない。これから先も裏切らないと誓うよ。みのりの隣にやっと立てるんだからこれ以上の幸せはない」

「本当に? 私は悟くんの隣にいてもいいの?」

「もちろんだ。俺以外が隣にいることは許さない」

再び彼に口を塞がれた。
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