恋に落ちたら
私を抱き上げると器用に靴を脱がせ、リビングへと運ばれた。

ソファには濡れたバスタオルや着替えが散乱していた。

「ごめん、風呂から出たらみのりから連絡が来ていて驚いたんだ。連絡が途絶えていたみのりから会いたいと言ってくれるなんて、このチャンスを逃すわけにはいかないと慌てて飛び出したんだ」

ソファの端にそっと下ろされると、慌てて洗濯物を片付け始めた姿にどれだけ急いできてくれたのだろうと考えるだけで心が温かくなった。
そう言われてみると彼の髪の毛はまだ濡れていた。それでも私のために駆けつけてくれたのだと思うと彼の行動ひとつひとつが私のことを思っていてくれるのだと嬉しくなった。

「いつもありがとう、悟くん」

「いつでもみのりのことが一番だからな」

甘い視線を向けられるとつい私の視線は足元に降りてしまう。
すると私のそばに近づく悟くんの足が見えた。
頭に手を添えられ、頭のてっぺんにキスを落とされた。

「え?! ダメだよ。今日仕事してきて汗臭いの!」

恥ずかしくなり頭を押さえるとその手をそっと外させ、またさっきのように頭にキスを落としてくる。

「みのりはどこも甘い匂いしかしない」

「悟くん!」

私が強く言うと笑いながらソファの隣に腰掛けてきた。私の腰に手を回し、悟くんとピッタリと寄り添うよう。私の手を膝の上で絡め合わせ、私はこの姿勢にどうしたらいいのかわからず固まった。

「ちゃんと話してから先に進もうか」

少しだけ真面目な声で悟くんは話し始めた。
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