恋に落ちたら
「もう少しだけみのりに近づいてもいいか? なにもしないからこのまま泊まって行ってくれないか?」

私は大きく頷いた。
正直、このまま悟くんと離れがたかった。
こうしてずっとくっついていたかった。

お泊まりに必要なものを買うため手を繋いでコンビニにいくが、よく見ると下着からストッキング、基礎化粧品や化粧品となんでも揃っていた。突然のお泊まりなんてしたこともなかったので気にしたことがなかったが改めて見るとなんて便利なのだろう。

部屋へ戻ると悟くんは私にバスルームの説明をしてくれる。タオルやパジャマがわりのTシャツやハーフパンツも貸してくれた。

「ゆっくり入っておいで」

そう言うとバタンと扉が閉まった。
洗面台の鏡を見て私は大きく息を吐き出した。
今日一日いろんなことがあった。
さっきまでは悟くんと離れることばかり考えていたのに拓人くんの言葉で踏み出すことができて今ここにいる。そう思うと人生って不思議。
いろんな出会いがあって今がある。
拓人との出会いだって偶然だった。
偶然が導いてくれた幸せ。せっかく素直になれたんだからこの幸せを自分からもう手放したくない。
鏡に映る自分の頬に触れ、大きく頷いた。
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