恋に落ちたら

繋いだ手を離さない

翌朝、私たちは慌てて支度する羽目になった。

起きると時計はすでに7時を指しており、
「みのり! まずいぞ。7時を過ぎている」
私もその声に飛び起きた。

甘い朝を迎えるものと思っていたが、それもテレビの中の話だった。
現実は夜遅くまで話した挙句……あんなことまでしちゃったから起きれるわけがなかった。

慌てて私にシャワーを浴びさせると、その間にコーヒーの準備をしてくれていた。
私が出ると彼も急いでシャワーを浴び、2人でコーヒーだけ飲むと身支度を整え走るように駅へ向かった。

「身体キツくないか?」

走りながら小さな声で私を伺ってくる悟くんに私は頷く。

「大丈夫みたい」

小さな声でそう言うと、私は手を伸ばし彼の手を握った。
今までなら私から手を伸ばすことなんてできなかったがやっと私から彼を求めることができた。
それは彼が私を拒絶しないと安心させてくれるからに他ならない。
2人で手を繋いで走ると今までと世界が変わって見えた。
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