恋に落ちたら
「あのあとね、彼と仲直りしたの。女の人のことも誤解だって。今まで話せなかったこともちゃんと本心から伝えることができた。全部拓人くんのおかげだよ」

「俺ですか? 何もしてないですよ」

「ううん。拓人くんの言葉は重いよ」

私が笑って伝えると、彼は頭をかきながら照れてる様子を見せる。

「実は俺もみのりさんに感謝なんです。みのりさんと会わなければ楽しいから続けたい、と思えなかったから。成績に囚われてる自分を解放させてくれたっていうのかな」

「え? 私が?」

「はい。だからお互い様ですね!」

私のおかげと言われるなんてなんだか恥ずかしい。
袋に入ったタオルを彼に渡し、照れ隠しのように一緒に入れておいたお菓子の説明をした。

「みのりさん! 俺、これからも頑張ります」

「うん! 私も前を向いて頑張る」

ベンチに座って拳をぶつけ合った。
拓人くんといると彼の素直な気持ちに当てられるのか自分も素直になれる。
せっかくの出会いをこのまま終わりにしたくない。もちろんこれは恋ではない。違いはもうわかっている。

「拓人くんって弟みたいだけどしっかりしてるよね」

「みのりさんってお姉さんだけど可愛らしいですよね」

「拓人くんより4つも上なんだけどなぁ。何か困ったことがあったらいつでも連絡してよね」

「ありがとうございます。みのりさんも泣きながら歩くくらいならまず連絡してくださいね。女1人でアレは不用心ですからね」

「はい……それだけは肝に銘じます」

お互い目を合わせて笑い合った。


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