先輩とキス(短編)
バレンタインは土曜日だった。
平日だったとしても
3年生は卒業を控えているだけで、もう授業はないので
学校には来ない。
昨日先輩から返ってきたメール
“夕方の5時くらいでいいなら空いてるよ”
嬉しさと緊張が入り混じった気持ちで
午前中からスタンバイして
5時になるのを待った。
先輩とは
駅前のマクドナルドの前で待ち合わせ。
私はチョコが入った紙袋を持って
お気に入りのピンクのニットに白いマフラーをして
何度も鏡を見て
おかしくないかチェックした。
2人きりでこんな風に会えるなんて夢にも思っていなかった。
ずっと追いかけていた川瀬先輩に
今から告白するんだ……
駅前はいつものように人が多く行き交っていた。
先輩を待ってる間
ドキドキして不安でいっぱい。
まだ5時なのに冬の空は薄暗くて、見上げると
小さな粉雪が降ってきた。