先輩とキス(短編)
「店、混んできたね。寒いけど出ようか。」
コーヒーを飲み終えた先輩の後ろに引っ付いて
外へ出た。
『わあ…』
空からはまだ小さな粉雪が降っていて
すぐに溶けるその小さな粒は
かかっても全然濡れないくらいだった。
近くの公園のベンチに座った私と先輩。
微妙な距離感があったけど
隣にいれることが嬉しかった。
『先輩、これ……』
私はようやくタイミングを見つけて
隣に座る先輩にチョコが入った紙袋を渡した。
「おお!ありがとう。」
先輩は嬉しそうに受け取った後、
「嘘。実はいつ渡してくれんのかなあ?って思って待ってた。」
って言って
いたずらっぽく笑った。
『ごめんなさい。店の中暖房効いてたから…溶けてるかも……』
「いいよ。溶けてても食べるから。」