相思相愛・夫婦の日常~はる♡もも編~
「幻夜さん、ありがとうございました!」

次の日の朝。
幻夜がマンション前まで送ってくれた。

「ううん!またね!」
「あ、お茶でも…!」
「永遠は?」
「今日は、午前中講義があるって言ってたのでいません」

「いいの?」

「え?」
「僕、男だよ?」
「え?でも、市子ちゃんの旦那さんだし」

「僕ってそんなに信用されてるんだ?」
微笑み言う、幻夜。

「え?あ、嫌なら…無理に誘うつもりは……」
「嫌なわけないよ。
フフ…百枝ちゃんって、鈍感なんだね!
永遠、大変だなぁー
じゃあ、お邪魔しようかな?
僕も帰っても、市子は仕事中だし!」
「あ、はい。どうぞ!」

玄関を開け、中に入る。
「どうぞ?」
スリッパを出して、幻夜を中に促した。

「お邪魔します」
リビングに向かい入ると、フワッと永遠の香水の香りが漂ってきた。
当たり前だが、つい先程まで永遠がここにいたことがわかる香りに、何故か涙腺が緩み鼻の奥がツンとしていた。

「百枝ちゃん。キャリーケース、ここに置いておくね。
百枝ちゃん?」
幻夜が部屋の端にキャリーケースを置きながら、顔を覗き込んだ。

「あ、ごめんなさい!ありがとうございました!
今、お茶入れますね!
好きな所に座ってください!」
「………」


「━━━━━━相思相愛って言葉……」
百枝が出したコーヒーを飲みながら、ポツリと言った幻夜。
「え?」

「永遠と百枝ちゃんの為にあるのかもね」

「え?」
「早く、はるくんに会いたい」
「え?」
「………って思ってるよね?
そんな泣きそうな顔して、可愛いね……!」

「え━━━━━」
不意に幻夜の顔が近づいてきた。

「百枝ちゃん、警戒心って言葉知ってる?」
目の前まで顔を近づけた幻夜が囁いた。
「あ、あの…////」
(ち、近い…////!!?)

「百枝ちゃんみたいな可愛い子が、泣きそうな顔して目を潤ませている。
しかも今、二人っきり。
僕がフリーなら、確実に間違いを犯すよ?」
「え……」
「だから、永遠は大変だなって言ったんだよ?
嫁さんが無自覚だなんて、僕なら気が気じゃない!」
「幻夜さ…ち、近いです……////」
「フフ…ごめんね!
コーヒー、おかわりいい?」
「あ、はい」
百枝がキッチンに向かい、コーヒーのおかわりを入れていると百枝のスマホが鳴り響いた。

「あ、誰だろ?」
幻夜が画面を見る。
「“うたくん”だって」

「え?雅楽くん!?」
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