吸血鬼との世界
その日の夜、父さんから電話があった。

『零夜、学園側からの許可は得た。美鈴さんを本社のほうへ連れてきなさい。総二郎君と綾女さんはもうこちらについている。
制御カプセルに入れて連れてくるんだぞ』

「わかってる。今すぐ出る」

俺は美鈴を制御カプセル(これ以上能力をかけないよう制御するカプセル)に入れて秋の車で犬飼グループの本社に向かった。



<本社>

「父さん」

「さ、中へ。今からこの階には人払いとこの階に通じた経路、扉に厳重警備を。人一人も近づけるな!!」

「はっ!!」

昔から犬飼グループの警備にあたってくれている警備員たちが父さんに一礼してすぐ各自持ち場に着いた。

これからこの部屋で壮大な術儀が行われるのだ。
普通の人間がこの階に足を踏み入れるだけで魂を奪われてしまうくらい強力な力が今からこの階を支配する。
父さんの持つ『何もかもを破滅』させる能力。
この能力はヴァンパイア、元人間のヴァンパイアには無害だが、人間には強すぎる能力なため、人払いをして、
この階に人を近づけないようにしてから行う。
総二郎さんは元人間のヴァンパイア、綾女さんはヴァンパイアなので大丈夫と確認済み。

「零夜、美鈴さんをカプセルから出してくれ」

「あぁ」

美鈴をカプセルから出すと黒々しいオーラがまた美鈴を包んだ。

「では、始める」

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