吸血鬼との世界
エレベーターを降りたら、すごかった。

紅いカーペットの敷かれた広めの廊下に等間隔で大きな扉があった。


「部屋の説明するぞ?」

「あ、うん!!」

広さとすごさにあっけらかんとしてしまった。
いかんいかん。

「まず、降りてすぐの右側の部屋がトイレね。中はちゃんと分かれてるから安心して。で、左側が簡易シャワールーム。風呂入るのがめんどいときはここ使って。で、その奥の右側が洗面所兼パウダールーム、左側がジャグジー付き風呂。で、その次が…」

待って待って?多くて記憶できないんだが?????
もう最初の部屋忘れたよ??←

「て感じ、ま、部屋にあるマップに全部書いてあるから。あとでわからないとこ見ときなよ。で、最後のこの大きな大きな扉が俺らの寝室ね」

扉でかっ!!!!

他の部屋の扉よりもでかいじゃん。

個人部屋は一応あった。
けど基本リビングルームあったからそこにいることが多いだろう。
寝室、どうなってんの???

ガチャ

零夜が扉を開けた。

中にはやはり何人寝るんだよとツッコミ入れたくなるようなくらい大きなキングサイズの天蓋付きベッドが真ん中にドーーーーーんとあり、窓辺からは外の景色がきれいに見える大きな窓があった。
窓の近くにはおしゃれなカフェとかでしか見たことのない綺麗な机といすがあり、ベッドの反対側にはでかいソファと映画館のようなスクリーン(今はしまってある)があるし・・・。

スイートルームが目の前に広がっていた。
こんないい部屋に数か月もいてもいいのだろうか・・と不安が出てくるくらいいい部屋だった。
なので、第一声は

「・・・・・すごっ・・・・」

と何とも間抜けな感想になってしまった。

「こんだけ広ければ、いつでもお前を喰えるな??」

その言葉を聞いて顔が熱くなった。

「ここ、防音機能付きだし??」

「なっ・・・・!!!」

「いくら啼いても声は誰にも届かない。届いたとしても、ここのフロアには誰も来れない。嫌って言っても喰いつくしてやるよ。お前の心ごと、これからたっぷり時間かけて、な?」
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