吸血鬼との世界
〜美鈴side〜

「ちょっといいか??」

急に犬飼くんに話しかけられた。

「あ、うん」

「着いてきて」

「うん」

何だろう?
交流…にしては違うような。

交流なら教室でできるはず。

今はなぜか教室を出てどこか別の場所に向かってる。

でも、理由は分からないからついて行くしかない。

「ここでいいか」

ここは、中庭??
花がいっぱい咲いててベンチが所々にある。

「そこ、座って」

犬飼くんがベンチに座り、隣に座るよう言う。

「単刀直入に言う。お前の体のどこかにこのマークはあるか??」

そういい、犬飼くんは手首のマークを見せてくれた。
それは私の手首にあるマークと一緒だった。
なぜ犬飼くんにも??

「え…どうしてそのマークが犬飼くんにもあるの??」

「ということは、お前にもあるんだな?」

「うん、首に。生まれて直ぐにあったみたいで、なんであるかわからなくて、だからここに入学して調べようかと。ここの図書館は資料があるって聞いたから」

「そうか、人間は何も知らされないのか、このマークはヴァンパイアの対になる人間に現れるマークだ」

「対??」

「そうだ、対になる者は生まれて直ぐに決まり、お互い誰かはわからない。けど、ヴァンパイアは鼻がとても効く。その匂いで対の人間を探すんだ。ここにいるヴァンパイアは対を探すためにいるやつも多い」

初めて知った。
対。
このマークは対の印だったんだ。
入学してすぐ謎解けちゃったな。

「対になると、何か変わるの??」

気になったことを聞いてみる。

「対になったら、ヴァンパイアが人間のマークに誓の血液を垂らすことになってるんだ。それによってマークは消え、そこにひとつのリングが手にできるんだ。そのリングは死ぬまで外れない対同士の誓のリングなんだ」

なんかすごいな。

「じゃあ、まず誓の血液垂らすよ?」

「あ、うん」

犬飼くんは自分の指先を少し切って血を私の首に垂らした。
そしたら光がでて、瞬時に右手の人差し指に紅いリングがでてきた。
犬飼くんの右手の人差し指にも同じリングがついていた。

「これで、美鈴は俺の対。生涯を共にする相手だ、俺から離れんなよ?」

ちゃっかりプロポーズ紛いなこと言われてるけど、まだ今日会ったばかりなんだけど。

「あ、対になったら寮の部屋は対と同じ部屋になるから俺と同じ部屋だから!よろしくな」

「え??」

部屋も一緒なのぉぉおおおお!

「い、犬飼くんと、お、同じ部屋??」

「当たり前だろ??対なんだから。それから、零夜」

「へ??」

「対なんだから名前で呼べよ!俺らはもう離れられない唯一の存在なんだから」

「あ、うん。零夜」

「それでいい、んじゃ、教室戻って荷物もって早速寮行くぞー」

「あ、うん」

入学式当日に彼氏が出来て、プロポーズ紛いなことされて。

なんか頭の整理が追いつかないバタバタな入学式になった。
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