吸血鬼との世界
<次の日>

「零夜っ!!おはよう、ねぇ~教科書ないから見せて~?」

「ほかのやつに見せてもらえ」

「えぇ~!幼馴染なのに見せてくれないの?」

「お前に見せる教科書はない」

「ひどぃ~!」

「ほかをあたれ」

昨日から零夜は彼女にこれでもかと冷たく接するようになった。


昼も今までは食堂で二人で食べていたが、彼女が転校してきてから、寮で専属シェフに作ってもらうようになった。

彼女は残念ながら対ではないのでここの寮には入れない。

門の中にすら入れない。

対同士しか入れない。男女で入っても「お互いが対である証明」がないと入れない。

徹底保護されている。

万が一、中に侵入できても、部屋がある中央まではたどり着けない仕組みになっている。
中央に行くまでは、ここの教師であっても数々のセキュリティなどがあるからだ。

「美鈴、しばらくは学校を休業することにした」

「え??なんで?」

「あいつがいるからだ」

「え?私は大丈夫だよ?」

「美鈴が気付く前にすべて処理してるから気づかなかったと思うが、いたずらメール、モノ隠し、嫌がらせがここ最近ひどいんだ」

「え?知らなかった」


「当たり前だ。俺が気付いてすぐ返り討ちにしてたからな。今後もたぶんこのようなことは続く。今、父さんに連絡して、学園から彼女の追放をお願いしている。父さんも母さんも美鈴に被害が出るようなら容赦しないと言ってくれている。
父さんたちが彼女を追放するまでは、ここで授業をやる。先生が端末での参加ができるように学園側が手続してくれたんだ。
明日からはオンラインで授業に出よう」

「うん、わかった!!」

零夜が私のために色々動いてくれてる。
ありがとう、零夜。

その日は早めに眠りについた。
< 96 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop