ただ一途に好きなだけ。

「1年1組は・・・ここだね」

校舎内のところどころ貼ってあった地図をみてやっと見つけた教室。

「ここ、結構見つけづらい場所にあるんだな」

うん。確かに、ここは見づらいかも。
1年は全部で7クラスもあるんだけど、私たち1組だけ階段を挟んで一番奥の部屋に配置されている。
他の子たちについて行ってしまっていたら、危うく迷子になるところだったもの。


教室に入ったら数名の生徒が席に座っており、各席に置かれているプリントに目を通していた。
黒板には【祝 入学おめでとう】の文字。
その下に座席表が書いてあった。

私は19番で斎藤君は18番。クラス全員で37人。

私たちはそれぞれ該当する席に座ってプリント類を読み始めた。

ふむふむ、担任の先生は宮島弘(みやじま ひろし)って言うのね。
学級通信1号と書かれたプリントに担任の名前と、趣味などが書かれてあった。

学年通信には今学期の方針と健康診断のお知らせが書かれていた。
他には生徒手帳だったり、身だしなみについて書かれてあったりってところかな。
あ、今日と数日分の持ち物とかも書かれていたよ。
「なー、清水。俺、担任と趣味合うかも。」

ほれ、と指さされた先には学級通信に書いてある担任の自己紹介の趣味と書かれている欄。趣味:野球観戦、息子とサッカーをすること。と、記載されていた。

「確かに斎藤君スポーツ得意だもんね。」
私はできないけど・・・と、小言で言ったものの、バレた。

「お前運動神経皆無だもんな笑」
と、ネタにされてしまったけれど。でも、彼が面白そうに笑っていたのが少し嬉しかったりもする。うう、複雑!

プリント類一式読み終わって顔を上げると、ほとんどのクラスメイトが座っていた。

斎藤君はまだ読み終わっていないようで、真剣そうにプリントを見ていた。


暇だ。そう思っていると、チャイムが鳴った。高校生活幕開けのチャイム。

それを合図に、全員が手を止めて、前を向いた。
ガラガラと、ドアを開く音が聞こえ、入ってきたのは如何にも体育教師と言わんばかりの風貌の男性教師だった。

「うわ、マッチョだ。」
こっそり呟いていたのは忘れないよ、斎藤君。





ガラガラと扉が開いて担任と思われる先生が入ってくる。

「新入生の皆さん始めまして。学年主任の竹下です。」

あ、違った。
でも、どうして学年主任が教室に?

「宮島先生がちょっと手が離せない状態なので代わりに私が来ました。」
私って言っているけど男の先生だよ。

早速私たちは廊下に出席番号順に並んだ。
2列になるって聞いて私もしかしたら一番前かもしれないって思ったんだけど、ギリギリ斎藤君の後ろに並べた。ラッキー!

私たちは1組だから一番最初に入らないといけない。
だから主任が私たちをものすごく急がせてる。

その結果予定より15分も早く教室を出発する羽目になってしまった。
総合体育館まで主任についていく。
総合体育館っていうのは、全校集会の時とかに全校生徒+教職員が一斉に集まったり、体育の授業を使うために使用する体育館のことだよ。
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