独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで

考えてみると瑠衣は彼に一目惚れをしたから一気に心を寄せたけれど、彼にとって瑠衣は遠い存在なのかもしれないし。

とは言え、瑠衣の気持ちの問題だけでなく周囲からのプレッシャーが存在する。

お互いの両親からの孫督促だ。

特に義母が拘っていて、最近は顔を合わせる度に「早く孫を抱きたいわ」など遠慮がちな態度ながら内容はストレートに告げられる。

義母が後継ぎを期待する気持ちは分かるけれど、言われるたびに気持ちが沈む。

（晴臣さんも、似たようなことを言われているのかな）

瑠衣の目の届くところで責められているのは見たことがないが、小作りは夫婦がその気にならなくては出来ない訳だから。

（晴臣さん、今の状況をどう思っているの？）

優雅な仕草でコーヒーを口に運ぶ夫の顔からは、何も読み取ることが出来なかった。