独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
「プライベートでも予定がないし大丈夫。現場ってことは測量補助が必要なんだよね?」

「うん、瑠衣に頼むのは悪いかなと思ったんだけど」

現場では図面を作る為の調査としてトータルステーションを使って測量をする。

基本的にふたり一組で行うのだが、その日空いている職員がいないのだろう。

瑠衣は内勤の契約で、外出するとしてもクライアントへのお使いや法務局へ手続きに行く程度だ。

ただフルタイムの頃は、現場作業もこなしていたので、スキル的にできないことはない。


「一応所長に確認を取ってオーケーだったら手伝うよ」

「やった、ありがとう。内勤の子で現場作業出来るのは瑠衣だけだからね。ほんと頼りになる」

「そんなことないよ。サポートする以上現場の作業も理解していないと思って、強引に連れて行って貰ったのが始まりだから押しかけ?」

「そのせいで当てにされるようになってしょっちゅう呼ばれてるし。でも本当に瑠衣のそういうところ尊敬してる。大変な作業を自らやるのって実際はなかなか出来ないからね」

「褒めてもサービスはないからね」

そんな風にそっけなく答えたけれど、内心心が弾んでいた。

仕事でもプライベートでも、頑張りを認めてもらえるのは嬉しい。

(夫婦仲も頑張って改善出来たらいいんだけどな)
< 40 / 108 >

この作品をシェア

pagetop