独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
そう考えると、気持ちがどん底まで落ちて行った。

家に帰るのが怖くなった。自分は夫の顔を見て普通でいられるのだろうか。

自信がない。だけど正直に「浮気してるんですか?」なんて聞けない。

今のところ状況証拠しかないのだから、聞いてもはぐらかされたら終わりだ。

となると先に証拠集めをする? いや、それは瑠衣のメンタルが持ちそうにない。

食欲は全く無かったが、帰宅して直ぐに夕食の支度にとりかかった。

今夜のメニューは、夏野菜たっぷりカレー。

晴臣が好きなアスパラや旬の野菜をグリルして、綺麗に盛り付ける。簡単な割りに見栄えが良いので気に入っている。

ご飯炊けたところで、晴臣が帰宅した。

料理に集中したおかげで先ほどより気持ちは落ち着いているけれど、それでもまだ心は騒めいている。

「晴臣さん、お帰りなさい」

なんとか笑顔で出迎えたものの、ちょっと油断すると顔が引きつってしまいそう。

「ただいま。今日はカレー?」

部屋に漂う匂いで気付いたようで、彼が嬉しそうな顔をする。

「うん。すぐに食べる?」

「いや、先にシャワー浴びて来るよ」

「分かった。出る頃に食べられるよう用意しておくね」
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