独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
結婚記念日
六月十日は瑠衣と晴臣の結婚記念日だ。
夫婦になって一年が過ぎたのだと思うと、感慨深い。
結婚して半年は文句なしに幸せだったし、その後も悩む日の中でも楽しかった思い出がいくつもある。
晴臣と結婚してよかった。
出来れば何の憂いもなくそう言えるように、今日は一歩踏み出そう。
夫に抱いて欲しいと言うのは、かなりハードルが高いことだけれど。
変に構えず素直に誘える人が羨ましい。
意識し過ぎて上手く言えない自分が嫌になる。
だけど瑠衣なりに頑張るしかない。
(話しやすいように雰囲気をよくしておきたいな)
素敵な結婚記念日の演出の為、朝から張り切って買い出しに行き、手の込んだ料理をせっせとつくる。
お洒落にテーブルセッティングをして、買い出しのときに買った白い紫陽花を飾ると清潔感があって上品な雰囲気になった。
「うん、いい感じ」
独り言を言いながら、上手く火の通ったローストビーフをカットして仕上げにかかる。
一通り整い時計を見ると、午後六時を回ったところだった。