独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
インパクト 晴臣side
『晴臣さん、私実家に帰ります』
愛する妻が妙にすっきりした表情でそう宣言した瞬間、膝から崩れ落ちそうになった。
(うそだろ?)
確かにその前日に、少々揉めた。
夫婦の会話中にかかって来た電話が原因だ。
相手が女性だった為、瑠衣が誤解してしまったのだ。
だけど晴臣はそんなときなのに、少し心が弾むのを感じていた。
いつも穏やかな感情の波がない瑠衣が自分のことで怒っている。
内容的に嫉妬していると思って間違いないはず。
そう気付くと、緊迫した空気の中でも安心を感じていた。
嫉妬するのは、瑠衣の気持ちが晴臣に向いているから。
最近距離を感じていた夫婦仲を良くする為の自信につながった。
しかし喜んでいるばかりではなく、誤解を解いて妻を安心させなくてはならない。
一旦時間を置き、その間の懸念を無くしておこうと考えたのだ。
瑠衣が指摘した通り、舟木美帆の行動は少し行き過ぎている。
しかも最近はエスカレートして来ているから、ここらでしっかり釘を刺しておかなくてはならない。