独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで

「どことなく胡散臭い感じがしたから。でも気を付けた方がいいよ。あの人瑠衣のこと狙ってる感じだったから」

思いがけない言葉に瑠衣は「えっ」と声を上げた。

「まさか。だって私は結婚してるんだし」

しかも瀬尾は瑠衣なんかタイプじゃないはずだ。散々馬鹿にされたのだから間違いない。

「あの手のタイプはそんなこと気にしないんじゃない?」

「夫の同僚でもあるしそんなことはないと思うけど、那々が言うなら気をつけておく」

那々は真面目な顔で頷いた。

「そうして。私、危ない男を見分けるの結構得意だから、当たってると思う」

「なんで得意なの?」

「何回か騙されたから。失敗して身に付けた感じ」

「……そうなんだ」

いつも飄々としている那々もいろいろと有ったのか。

お互いの過去の失敗話をしながら帰宅をした口に出して散々文句を言ったからか、とてもすっきりした。
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