独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
もちろん瑠衣に疚しい点はない。それでもあの忌々しい過去について知られるのは憂鬱だ。
自分が悪いことをしたとは思っていないけれど、不誠実な男を見抜けなかったのは本当なのだから。
晴臣にがっかりされたら辛い。
しかし瀬尾の件だけを気にしてる訳にもいかない。
元々はっきりさせたかった舟木美帆との関係について聞き出さなくてはならないのだし。
目を閉じると夫の姿が浮かんでくる。
すると胸が切なくなって、彼に会いたいと思う。
(やっぱり離れられないな……)
たとえ浮気されていても。彼に好きな相手がいても物分かりよく身を引くなんて出来ない。
こんなに好きなのに、なぜ素直に気持ちを伝えられなかったのだろう。
同じ失敗を繰り返すのが怖いとか、セックスについて口にするのが恥ずかしいとか、自分なりに言い分はあるけど。
(結局私は変なプライドがあったのかも)
結婚記念日に正直な気持ちを伝えると決めたのに、全然覚悟が出来ていなかった。
(明日こそ、晴臣さんに伝えよう)
好きだからずっと夫婦でいたいと。もう一度抱き合いたいと。
心を決めて安心したせいか眠気が襲って来た。瑠衣は夫を想いながら眠りについた。