独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
◇◇
「結婚はスタートに過ぎないんだよね」
翌日の午後一時。ランチタイムの賑わいの中、瑠衣は無意識にそんな言葉を吐き出していた。
「いきなりどうした?」
一緒に食事に来ている石伊那々(いしいなな)が不審そうに瑠衣を見る。
彼女は瑠衣が勤務する白藤総合登記事務所(しらふじそうごうとうきじむしょ)の同期で、プライベートでも親しくしている友人だ。
瑠衣は結婚を機に週三回のパート勤務になったけれど、彼女は複数の案件を抱える有資格者として朝から晩まで忙しく働いている。
タイトなスケジュールで動いている那々だが、昼休憩はしっかり取りたいと週に一度は瑠衣と一緒に外食する。
今日もオフィスから徒歩五分のお気に入りの中華屋で、柔らか五目焼きそばを食べ終えたところだ。
食後のサービスして貰った温かいお茶を一口のみ、ほっと一息をついたところで油断したのか、結婚はスタート……なんて愚痴が零れてしまった。
「昨日、結婚記念日だったんだよね? 何かあったの?」
「うん、まあ」
「その顔じゃよくない話だよね、喧嘩でもした?」
「……夫が帰ってこなかったの」
少し躊躇ってから正直に打ち明けた。
「えっ、どうして?」
「結婚はスタートに過ぎないんだよね」
翌日の午後一時。ランチタイムの賑わいの中、瑠衣は無意識にそんな言葉を吐き出していた。
「いきなりどうした?」
一緒に食事に来ている石伊那々(いしいなな)が不審そうに瑠衣を見る。
彼女は瑠衣が勤務する白藤総合登記事務所(しらふじそうごうとうきじむしょ)の同期で、プライベートでも親しくしている友人だ。
瑠衣は結婚を機に週三回のパート勤務になったけれど、彼女は複数の案件を抱える有資格者として朝から晩まで忙しく働いている。
タイトなスケジュールで動いている那々だが、昼休憩はしっかり取りたいと週に一度は瑠衣と一緒に外食する。
今日もオフィスから徒歩五分のお気に入りの中華屋で、柔らか五目焼きそばを食べ終えたところだ。
食後のサービスして貰った温かいお茶を一口のみ、ほっと一息をついたところで油断したのか、結婚はスタート……なんて愚痴が零れてしまった。
「昨日、結婚記念日だったんだよね? 何かあったの?」
「うん、まあ」
「その顔じゃよくない話だよね、喧嘩でもした?」
「……夫が帰ってこなかったの」
少し躊躇ってから正直に打ち明けた。
「えっ、どうして?」