透き通った君に僕の初恋を捧げる

 行こうか帰るか何度も考えているうちにいつの間にか学校についてしまった。
 優柔不断な自分が、嫌、なんだかんだちゃんと部長の言う事を聞かなければいけないと考えている自分が嫌になる。
 覚悟を決めて校門を通った時、一人の女子生徒に目がいった。
 彼女は他の生徒同様、真新しい制服を着て傷一つないカバンを持っている。
 好きなのだろうか、カバンにはウサギのストラップが揺れている。
 そして何より顔が可愛い。俺の好みど真ん中だ。
 今まで見た女の子の中で一番可愛い。
 心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
 彼女は誰かを探しているのだろうか?歩きながらキョロキョロ辺りを見回している。
 誰かを探しているなら一緒に探すし、それともどこかいきたい場所があるのならば案内しよう。
 そう思い、善は急げと彼女のところに早足で近づいていく。
 どう声をかけよう。
 「あの、」違う。
 「すいません、」これも何か違う気がする。
 早く言わないと行ってしまう。

「な、何ですか?」

 どうしようか考えているうちに無意識に俺は彼女の腕を掴んでいた。
 突然先輩に腕を掴まれてそうとう驚いたのだろう、彼女の顔には驚きと恐怖が混ざっている。
 そんな彼女を見て俺の血の気は一気に引いた。
 汗が吹き出し顔はおそらく真っ青だ。
 言うんだ、何か言わなければ。
 声を出すために大きく息を吸った。
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