透き通った君に僕の初恋を捧げる
第一章 入学式と幽霊

「今日の公然告白事件の犯人が尊ってマジ?」
「そうだよ。」

 部室に着くと俺以外の部員はすでにそろっていた。
 ニヤニヤ顔で俺の事を既に三回も朝の件でいじってきた丸メガネの女がオカルト部部長・葛籠樟葉(つづら くずのは)。
 オカルト部は元々この学校には存在せず、樟葉が入学した時に俺を含め三人を半強制的に部員として勧誘しこのオカルト部を作った。
 特に実績もない怪しい部活に新入部員が入ってくるわけもなく、現在部員は三年生になってしまった初期メンバーの四人しかいない。

「尊、一人で告白して一人で崩れ落ちたって本当?」
「だからいたんだっつーの!女子生徒が!」

 俺を哀れむような目で見る男子生徒、四月一日はじめ(わたぬき はじめ)。
 俺とは幼い時からの腐れ縁で小学校一年生の時からなぜかずっと同じクラスにいる。
 はじめは中学生の時に俺の実家の寺で撮った写真に首がない女が映っているとテレビでその写真が取り上げられたことが事があり、すっかりオカルトマニアだ。首からは授業中以外はずっと一眼レフがぶら下げられている。
 ちなみに首のない女の正体が墓参りにきたおばさんがたまたま首を傾げて映らなかっただけなのは未だに知らずにいる。

「白昼夢でも見たんじゃない?昨日遅かったでしょ。」
「確かに遅かったけど、実際に触ったし白昼夢とかそういう感じではなかったんだよ…。」

 最後にオカルト部副部長小鳥遊シエナ(たかなし しえな)、父親がイタリア人のハーフ。
 だが父親も日本生まれ日本育ちのためシエナも日本から出たことはなく、しっかり日本語を話しイタリア語はほとんど出来ない。
 金色の髪に碧い瞳をしているのに、俺より英語の点数が悪く「教えて!」と泣きついてきたときにはとても驚いた。
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