透き通った君に僕の初恋を捧げる

「それで、その生徒と今日の集まりなんの関係があるんだよ。」
「よく聞いてくれた!」

 樟葉がキラーンとメガネを光らせる。

「探してみようじゃないか、その生徒を!」

 机を勢いよく叩いた。
 だが、樟葉の期待とは裏腹に冷めた目で樟葉を見る俺たちを見て「あれ?」と首を傾げる。

「さすがに不謹慎がすぎるんじゃないか?」
「私今朝も手合わせて来たし…。」
「これは、やりすぎ。」
「ぐぅっ!!」

 怒涛の正論パンチが樟葉を襲った。
 樟葉はその場に崩れ落ちて出ていないはずの吐血を手の甲で拭い、ふらふらしながら立ち上がるとそのまま椅子に座った。
 まだ冷めた視線を送り続けられ一瞬難しい顔をすると両手を合わせた。

「だってさ!!私たちもう三年生だよ!!何かインパクトのある事しないと新入生入ってこないよ!?そしたら部活なくなっちゃうんだよ!?」

 樟葉が机に頭を突っ伏して泣き始めるが、誰も慰めることはない。
 ここにいる樟葉以外の三人はオカルト部がなくなろうが別に構わないと思っているからだ。
 しらーっとした空気がいい証拠である。
 そもそも俺たちは樟葉に強制されなかったらオカルト部に入ろうとも、オカルト部を作ろうとも思っていなかったのだ。
 現在後輩もいなければ、引き継ぐべき伝統もない。部活が無くなったところで誰も何にもなりやしない。
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