透き通った君に僕の初恋を捧げる
「はじめくんはオカルト部がなくなってもいいの!?」
顔をあげた樟葉がはじめに絡む。
四人の中で樟葉の次にオカルトが好きな部員に助けを求めるが、
「別にいい。そもそも写真部に入りたかったし。」
「お前そうだったのかよ!?」
知らなかった。
でも思い返してみれば入学してすぐの時に写真部の見学に一緒に行こうと誘われた気がしなくもない。
写真部に行く前にオカルト部に強制された気はする。
「君たちがこんなに薄情者だと思ってなかったよ!!」
上げた顔をまた机に伏せぴーぴーとまた大げさに泣く。
そんなこと言われてもとしか言いようがない、というか面倒臭い。
困った俺とはじめの目線がシエナに動いた。
それに気がついたシエナは頷くと樟葉の肩を叩いた。
希望に満ち溢れた目で樟葉が顔をあげる。
「樟葉ちゃん。死者に石を投げるようなことしたら、私たちの卒業後どころか今すぐ部活なくなっちゃうよ?」
「でももし情報が掴めたら…!」
「樟葉ちゃん。」
「……わかったよ。」
シエナの圧に押されてようやく諦めた。
意気消沈してばたりと力が抜けている樟葉をシエナは「いい子いい子。」とニコニコで撫でている。
「じゃあ、今日はもう帰ろっか。」
シエナの一言で俺たちは荷物をまとめ部室を出た。
体育館でやっている入学式の司会の声がうっすらと聞こえてくる。
どうやら入学式が始まったようだ。