愛され聖女は片恋を厭う(宝玉九姫の生存遊戯1)
それは半ば鎌かけ、半ば言葉遊びのからかい文句のようなものだった。
レグルスは勘の鋭い方だが、それでも、まさかシャーリィがウィレスのことを好きになるなどと、本気で信じていたわけではなかった。
だが、シャーリィは弾かれたように顔を上げ、驚いたように目を見張る。
言い当ててしまうとは思っていなかったレグルスは、思わずリュートを取り落としそうになった。
それは、あまりにも深刻な問題だ。他国の王族が面白半分に首を突っ込むには、重過ぎる……。
「は、ははは。冗談だよ、冗談。そんなはず、ないよなぁ」
今更ながらに怖気づいたレグルスは、笑って誤魔化し、逃げようとした。
だが一瞬遅く、シャーリィの手に衣の裾を掴まれ、逃げられなくなる。
「レグルス様は、お兄様の親友なのですよね?」
「はは、まあ、俺はそう思ってるけど……」
「じゃあ、もしかして知ってらしたのでは?お兄様の、私に対する気持ちを……」
「え!? あいつ、まさか喋ったのか?君達が本当は兄妹じゃないって」