わがままな純愛 ケイレブとユリア

「俺はケイレブ、よろしくな。
ここの粉問屋から頼まれて、
小麦粉を、配達したとこでさ」

「ふーーん、わたしゃ、
ここの賄(まかな)いで、
マギーって呼んでくれ」

マギーは、少し警戒モードを
緩めたようだ。

ケイレブはあわてて、
スープでパンを流し込むと、
マギーのモップを、かすめとった。

「俺さ、
仕事を探しているんだけど、
マギー、ここで何か、適当な仕事ないかな？」

「仕事に適当はないよ」
マギーは不愉快そうに、ケイレブを見た。

「ああ、言い方が悪かった。
本当に困っているんだ」
ケイレブは、慌てて言いなおした。

「まぁ、ないわけじゃねぇ・・
けど
私が膝を悪くして、ここで雑用する女の子が一人欲しいと
校長先生に、お願いしているんだが」

マギーは腕組みをして、
うさんくさげに、ケイレブを眺めた。

「あんた、働くのは身元保証人が
いるんだよ。あんたみたいに、
船で来た外の奴は難しい」

マギーは、明らかに
ケイレブの身元を疑っている。