わがままな純愛 ケイレブとユリア
ケイレブは、マギーの指示の通り、窓枠のそばを、モップで拭きながら、素朴な疑問を呈した。

「別に男の恰好を、しなくても・・・いいんじゃないか?」

マギーは、フンと鼻を鳴らして
「アンタは、本当に馬鹿だね。
あれだけの美人を、男がほっとくかね。

求婚相手が、王族とかだったら、
絶対、断れないだろ?」

ケイレブは、納得してうなずいた。
「そりゃ、そうだ・・」

マギーの手が、動きを止めた。
「普通の男は、男の恰好をする
女を、嫁にしようとは思わないさ」

「うーーーーん」
ケイレブは、うなった。
ユリアという・・・
名前も優雅で美しいのに。

「もったいない・・・」
ケイレブは目を閉じて、うなずいた。

マギーの手が、動き出した。
「ユリア様は、貧しい子どもや
女たちのために、食事を出してくれ、勉強も見て下さる。

病気の時には、薬代を払ってくださる。
聖女様のようなお方だ」

マギーは、ジロリとケイレブを
見た。
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