わがままな純愛 ケイレブとユリア
ブヒヒーーーーンッ
ドドドドドッ・・ガッ

馬が半立ちになり、馬車の側に
いた御者は、道端に叩きつけられた。

馬が興奮して、あっという間に
暴走を始めた。
馬車は女の子を乗せ、扉をバタンバタン開閉させて、疾走する。

「誰か・・止めて、
お嬢様が・・!」
乳母の悲鳴が上がった。

正門から、一頭の黒い馬が
飛び出してきた。

乗っているのは、紺色のスーツ姿の少年のようだ。
長めの黄金の髪が、風になびく。

あっという間に、馬車を追いかけて、後ろ姿が小さくなった。

「馬を借りるぞっ」
ケイレブも、リュックに
ひっかけてあったロープを手に、
すぐ側に止めてあった馬に、
飛び乗った。

興奮した馬を止めるのは、
あの少年一人では無理だっ。

道のデコボコで、バランスを
崩したら、馬も馬車も転倒する。

幸いな事に、道は広くないので、
対抗してやってくる馬車はない。
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