わがままな純愛 ケイレブとユリア
街では、汚い服を着た幼い子どもを連れて、道端で客を取る、
若い女たちがいた。

確かに時化(しけ)や天候で、
船の運航は左右される。
収入が不安定、特に怪我をした者は、仕事が限られ貧しくなる。

そういった男たちの憂さ晴らしが、酒になるのは当然だ。
酒が入れば、ケンカや暴力につながる。

「今度のチャリティーパーティで、何とか寄付が集まると
いいのですが」
校長先生は自信なさげに、小さな声で言った。

ケイレブは、景気をつけるように、自分の腕をポンと叩いて

「マギーと俺とで、料理、頑張りますよ。
俺、いろいろな国を渡り歩いてきたので、うまい料理も、たくさん知っていますし」

校長先生はケイレブの言葉に、
少し勇気づけられたようで、
微笑んだ。

「それは楽しみですね。
それではホールの飾り付けも、
子どもたちに手伝ってもらって、頑張らねば・・」

石垣に並んで座っていると、
夕方の山から冷たい風が、降りてくる。
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