わがままな純愛 ケイレブとユリア
最後は、校長先生が仕切るのだろう。
会場の隅のテーブルで、係の男の子と校長先生が、
箱から次々に紙を取り出し、
ダンスのカップルを、確認していた。

数枚の紙を開けた時、
校長先生の手が止まった。

驚いたように、顔を上げて誰かを捜している。
その後、しばらく唇に指をあてて、悩んでいるようだったが、
係の男の子に、何か指示を出した。

それから校長先生は、
美しい笑顔で、紙を持って、フロア中央に進み出た。

「それでは、皆さまお待ちかね、
チャリティーパーティ恒例の、
最後のダンスを行います。

それぞれの名前をお呼びするので、フロア中央に出てください」

校長先生は笑顔で、次々とカップルの名前を呼んでいく。
「グレイ・マシュー氏とエイミー・ザーラ嬢、
アントン・クイニー氏とカーラ・ミルトン嬢・・」

10組ほどのカップルの名前が、
呼び出された。

男は<やったぜ>というように
得意げに、
女の子は恥ずかし気だが、
うれしさは隠せない。

校長先生は、すぐに端に寄り、
音楽担当のピアノとバイオリン
奏者に合図をした。
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