わがままな純愛 ケイレブとユリア
その手には、
最後のカップルの名前が、
書かれた紙が握りしめられている。

ワルツの曲が始まり、ダンスが
始まった。

会場の参加者の関心は、
最後の組のダンスのカップルが、誰なのかだ。
結婚することを、周囲に認めさせる・・・
今年は誰がなるのか?

親が反対しても、このチャンスを使って
結婚にこぎつけるカップルも、
過去に多数あった。

曲が終わり、踊り手たちは
それぞれ手をつないで、
フロアから、はけていった。

校長先生は片手に紙を持って、
フロア中央に進んだ。

「それでは、最後の・・・
最高金額を寄付していただける・・方の名前を、発表します」

フロアは静まり返った。

「ケイレブ・アーカイブ氏・・
どうぞ、フロアに」

小さなどよめきが、周囲に起きた。
ケイレブはそのどよめきに
答えるがごとく、
手を振って、フロア中央に歩いた。
そして、校長先生の隣に立った。

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