わがままな純愛 ケイレブとユリア
ケイレブは、校長先生に微笑んだが、
校長先生は少し困ったように、
エメラルドの瞳を伏せた。

しかし、
次に瞬間に切り替えをするように、顔を上げて、声を張り上げた。

「ケイレブ・アーカイブ氏の
お相手は・・・私です。

アーカイブ氏の御寄附で、
今回の必要金額を、達成することができます。
心からお礼を申し上げたいと
思います。」

校長先生は言い終わると、
ケイレブと向かい合うように立ち、小さな声で
「その・・ドレスでなくて
申し訳ないのですが」

ケイレブは、校長先生の手を
取った。
その手は小さく、冷たい・・・
「いえ、あなたとこうして
踊れることで・・俺は満足です」

そう言って、
ケイレブは、校長先生の体を引き寄せた。


音楽が始まった。
ケイレブのダンスは、誰が見てもうまかった。

風に舞う羽のように、
水面をすべる風のように、軽やかに二人は踊る。

周囲からは、
ため息の出るような
美しいカップルに見えた。
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