わがままな純愛 ケイレブとユリア
気が付いた時は、
波止場の居酒屋「黒猫亭」の
テーブルで、つぶれていた。

黒猫亭のマスターが、
意識がもうろうとしている、ケイレブの肩を叩いた。
「ケイレブさん、
もう、飲むのはダメですよ。
閉店時間です」

「人生で、一番ショックな事が
あったんだ・・
飲まずにいられるか・・」

ケイレブは赤い目をして、乱暴に言い放った。

小柄で、人の良さそうなマスターは
「この上に泊まれる部屋があります。ほら、案内しますから・・」

ケイレブを何とか立たせて、肩を貸した。

マスターは親切だった。
2階の貸部屋まで連れて行くと、
ケイレブは、そのままベッドに倒れこんだ。

翌日の昼過ぎだった。
ケイレブは目を開けた。

ベッドサイドテーブルには、
水差しとコップが置いてある。

ケイレブは強い喉の渇きで、
一気に水を飲んだ。
それから、ぼんやりと、重い頭で考えていた。

俺は確かに、マギーと言い争ったが、
天使の考えを、聞いていない。

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