わがままな純愛 ケイレブとユリア
ケイレブは、できるだけ御者台に近くなるよう、
馬をコントロールして近づけた。

少年の予想通り、
馬が、スピードを緩めた瞬間だった。
ケイレブは、手に持っていた
ロープを投げて、御者台に引っかけて固定した。
少しでも重量がかかれば、馬も疲れる。

そうして、馬を並走させながらも、なんとか、馬の興奮を収めるよう大声を出した。

「どうっどうっ」

馬も上り坂で、疲れも出たのだろう。
徐々にスピードが落ちて、ゆっくりと止まった。

「よしよし・・大丈夫だ」

ケイレブは馬から降りて、
馬の首を軽く叩いて,
落ち着かせた。

あの美しい少年が、馬から降りて走って来た。
「ああ・・本当に助かりました。」

少年は早口で言うと、
身を翻して、すぐに馬車の中を
確認した。
震えている小さな女の子を
抱きとり、道端に座らせた。

小さな女の子は、少年に抱きしめられて、やっと緊張が解けたのか

ウェーーーーン
大声で泣き始めた。
< 5 / 66 >

この作品をシェア

pagetop