わがままな純愛 ケイレブとユリア
「俺と共同経営するっていうのは・・・どうですか?」

「共同経営・・?」
天使は、その意外な申し出に、ケイレブを見つめた。

「俺は商人なんで・・
ここを拠点に、アーカイブの新しい商売をやります。

あなたが共同経営者になれば、
他の奴らも、ちょっかいを出せないでしょう」

ケイレブは天使の手を取って、
その指に唇をつけた。

「俺は、あなたを守ることが
できる。
あなたは、この土地を守る
ことができる。」

取引は強引すぎると、失敗する。

「今すぐ、返事は求めません・・・
あなたにも、考える時間が
必要でしょう・・・」

ケイレブは、ささやいた。

天使は何も言わず、うつむいていた。
考えているのか・・
迷っているのか・・
拒否する理由を、言おうとしているのか。

ケイレブは、最後の審判を待っていた。

それでも・・
今はダメでも・・・
少しずつ歩み寄ればいい。
この先、チャンスはたくさんある。

ケイレブは、天使の手を離さなかった。

その時

ガンガンガン
扉が、力強くノックされた。
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