わがままな純愛 ケイレブとユリア
「レベッカ、安心して」

少年は道端に座り込むと、
泣き叫んで、足をじたばたしている少女を抱きしめ、安心させるように
ゆっくりと、頭をなでてやっていた。

「はぁ・・やれやれ」

ケイレブは馬たちを、
少し先の空き地の木につなぎ
後からくる馬車の、邪魔にならないように寄せてから、石垣に座った。

「フェンネル先生・・!」
何人かの男が、馬で駆け寄って
きた。

ケイレブの手前で、
美少年と少女の様子を見ようと、
大勢の人が駆けつけて、囲んでいる。

ケイレブはそれを見ながら、
上着のポケットから、煙草を取り出し、火をつけた。

煙が、鼻先を流れて行き、
空腹であった事に、気が付いた。

「ああ、腹減ったなぁ・・」

あの人垣の誰かに、飯屋を聞くといいか
ケイレブはそう思っていると、

人垣を抜けて、あの美少年が歩いてケイレブの前に立った。

「あなたがいてくれて
本当に助かりました。
改めて感謝をしたいのですが」

座っていたケイレブは、美少年を見上げた。
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