先輩からの卒業 -after story-
深夜、ふたりの秘事❨side奈子❩



お父さんとお母さんが結婚25周年記念の旅行に出掛けた今日。

私はお兄ちゃんと2人で留守番をする予定だった。


……だった。そう、つまり過去形。




『なぁ、どうせだったら巧呼ばない?』


お兄ちゃんのそんな一言により、急遽巧くんがうちに泊まりにくることになった。


巧くんがうちに泊まりに来るのは別に初めてのことじゃない。


だけど、今まではお父さんとお母さんもいたし私達がまだ付き合う前の話。

よって、今までのお泊まりとは少し訳が違うのだ。


とは言っても、どうせほとんどの時間をお兄ちゃんと過ごすんだろうけど。


でもね、


同じ家にいるんだから私との時間も多少は増えるでしょ?

となると、やっぱり……


「奈子、その服可愛いじゃん」


部屋着にだって必然的に力が入ってしまう。

巧くんに褒められたのはあくまでも服。

それでも、嬉しいものだ。


『下着も気合入れといた方がいいんじゃない?』

なんて真帆は言ったけど、それは……多分必要ない。


お兄ちゃんがいるのに私が巧くんに下着を見せるようなことは起らないだろう。

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