先輩からの卒業 -after story-
判定とキスは甘く❨side巧❩
ピピピピッ、ピピピピッ、
ピピピピッ、ピピピピッ、
春休みも残りわずか。
時間を気にせず眠れるのもあと数日だというのに、スマホのアラームはそれを許さない。
「……っ、何でアラーム……?」
目も開けず、手探りでスマホを探し、アラームを止める。
ようやく静かになり、もうひと眠りしようと寝返りをうった時、ゴンッと壁に頭をぶつけた。
「痛ッ……」
その痛みに思わず目を開ける。
すると、目の前には見慣れない壁。
そうだ、ここはもう実家じゃないんだ。
そして、今日は……。
「やべっ、もうこんな時間」
スマホで時間を確認した俺は、すぐさまベッドから飛び起きた。
今日は俺が一人暮らしを始めた家に、奈子が初めて遊びに来る日。
3日前、実家から電車で片道1時間のこの小さなアパートに引っ越して来た。
ここでの暮らしにはまだ慣れない。
だが、数日後には大学が始まり、いよいよ本格的な新生活がスタートする。
その前にゆっくりデートでもしようと奈子と電話で話したのが2日前。
顔を洗い、スマホをチェックすると奈子から『電車乗ったよ』と連絡がきていた。