先輩からの卒業 -after story-



「あ、ありがとうございます。ホワイトデーの日って14日ですよね?」

それを手に取り火にかける。


どうして、わざわざホワイトデーの日って言うのだろう。

なんてことを一瞬気にはなったが、バレンタインの日、クリスマスの日同様ホワイトデーの日、という言い方をしてもおかしくないかと思いフライパンに油をひいた。


「そう14日」


「空いてますけど」


またうちでゲームでもする予定だろうか。


フライパンの中でお米と具材を炒め、ジューと音がなる中、巧くんは
「じゃあ、その日デートしない?」とつぶやいた。


「えっ……?」

巧くんから不意に出たデートという言葉にフライパンを振っていた手が止まる。


「今……なんて、」


「その日デートしない?って聞いたんだけど」


巧くんから再び出た“デート”という言葉。

巧くんが初恋で初彼氏の私にとって、デートに誘われるというのはこれが初めての経験だった。

付き合いだしてから、巧くんと会ったのはうちでのみ。

それもだいたいお兄ちゃんがセット。

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