先輩からの卒業 -after story-
下ろしたてのスーツに履き慣れない革靴。
それにも、いつか慣れる日が来るのだろうか。
っつても、それも数年後の話か。
明日からは私服で登校だし。
数分後、到着した電車に乗り込み鞄からスマホを取り出す。
奈子と送り合おうと決めていたスーツ姿の写真。
大学で自撮りをするのは恥ずかしくて、予め家で写真を撮って来た。
それを、
『入学おめでとう
今から大学向かう』
という言葉と共に送信する。
3分、5分、10分……。
大学に着いても奈子からの返事はない。