先輩からの卒業 -after story-
高校の時は同じ中学の奴らがいて、他の奴らとも自然と仲良くなったっけ。
ああ、確か同中以外で初めて話したのは悟だった。
出席番号順で前後だった悟(古谷)と俺(三宅)。
席も前後で入学式当日に俺から悟に話しかけた。
それからお互いサッカー部に入部することがわかって、その日のうちにサッカー部入部予定の奴らと飯を食べに行ったっけ。
それで次の日には打ち解けていた。
うちの高校サッカー強豪校。
部員数は100人を優に超える。
その大勢いるサッカー部の中でも悟とは特に気があって、いつも一緒にいた。
仲良くなるにつれて俺が悟に感じたのは、サッカー馬鹿でゲーム馬鹿だということ。
そんな悟が毎日のように口にする名前。
それが妹の奈子のことだった。
悟から聞く奈子の話はいつも楽しそうで、“いつか会いたい”いつの間にかそんな気持ちを抱くようになっていた。
そんなある日、部活帰りに数人で悟の家に遊びに行くことになった。
その日が奈子との初対面。
……正直、俺にとってはあまりいい思い出ではない。
なぜなら、大失敗をやらかしたからだ。
部活のあと、汚れた練習着で遊びに来た俺達を笑顔で迎え入れてくれた悟の母さん。