先輩からの卒業 -after story-
閑也と他愛もない話しをしていると、ポケットに入れていたスマホが小刻みに振動した。
それを取り出し、確認すると奈子からのメッセージが1件。
『巧くんっ!
返事遅くなってごめんね(TT)
今、家着いた〜
巧くんも入学おめでとう!
スーツ似合ってる(*μ_μ)
私も写真撮ったから送るね♪』
その言葉と共に添えられていた写真にはスーツ姿の奈子が。
入学式と書かれた看板の隣に立っている。
……お、親に送るような写真だな。
俺が望んでいたのはもっとアップ写真なんだけど。
ただ、最近のスマホは性能がいい。
指2本で送られてきた写真を拡大すると、そこには笑顔の奈子が写っていた。
「もしかしてその子、巧の彼女?」
「えっ、あ……そう。彼女」
スマホの画面いっぱいに広がる奈子の笑顔。
スマホを覗き込まなくても、自然と目に入るだろう。
……ていうか、隣に閑也がいることを一瞬忘れてた。
俺、にやけたりしてなかっただろうか。
緩みかけた顔を必死に引き締める。
「同じ大学の子?」
「いや、違う大学の子」
「へー同じ高校だった子?」
「うん。今はプチ遠恋中?電車で1時間あれば会いに行けるんだけど」
「そうなんだ」
「スーツ姿の写真送り合おうって約束してて。……でも、写真なんか見たら今すぐ顔見に行きたくなるな」
……って、今日初めて会った相手に何を言ってんだか。