先輩からの卒業 -after story-


もしかして、出掛けてる?

大学でできた友達とさっそく遊んでたり……。


最悪、会えない可能性もあるのか。


そんな一抹の不安を抱えながら返事を待つ。

しかし、返事がこないまま電車は奈子ん家近くの最寄り駅に到着した。


……とりあえず、一回インターフォンを押してみるか。

悟がいるかもしれないし。

そう思い歩みを進める。

駅から10分近く歩くと見える奈子の家。

つい最近まで近所に住んでいたというのに、もう懐かしい気持ちになる。

あとで実家にも顔出すか。


インターフォンを押す前にもう一度スマホを開いてみたが、やはり奈子からの返事は届いていなかった。

それでもここまで来たんだ。

何もせず帰るつもりはない。

そんな思いで、インターフォンを押した。

ピーンポーンと音がして数秒。

ドアが開く気配はない。

もう一度、インターフォンに手を伸ばす。

すると、中からバタバタと走ってくるような音がして勢いよくドアが開いた。


「巧くん……!?」

そう言って部屋着で出てきた奈子。

髪は無造作で、瞼はなんだか重そうだ。

「……もしかして寝てた?」

俺のその言葉にさっと手櫛で髪を整える奈子。

「か、帰ってきたら緊張が解れていつの間にか寝てたみたい……。もしかして、連絡くれた?」

「うん」


「ごめん。寝てて気づかなかった」


「いや、大丈夫。こうして会えたし」


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