先輩からの卒業 -after story-
「サークルの人達とご飯食べに行った。でも、巧くんが来るって知ってたらうちにいたと思うよ」
……これは、喜ぶところか?
「てかさ、思ったんだけど。奈子って俺のこと追いかけて高校入ったって言ってたじゃん?でも、本当は悟のこと追っかけてたんじゃ……」
「ち、違うよ!私が行きたいところにたまたまお兄ちゃんがいるだけ。学部だって違うし。巧くんを追いかけて同じ高校に行ったのは本当だもん」
「……追いかけてきてきてくれて、ありがとう」
「ふふっ、何それ」
「なんか言いたくなって?」
「どういたしまして?あ、そうだ喉渇いたでしょ。何か飲む?」
奈子はそう言うとキッチンへと飲み物を取りに行った。
「じゃあ、麦茶貰ってもいい?あ、てか奈子スーツ着替えたんだな」
まぁ、当然か。
俺も帰ったらすぐ脱ぐだろうし。
「あ、そういえば巧くんスーツだったね!びっくりして忘れてた」
キッチンから顔を覗かせた奈子は「大人の男の人だ〜!」と今さら頬を赤らめる。
スーツ効果やばいな。
この格好で会いに来て正解だったかも。
「俺も生で奈子のスーツ姿見たかったな〜」
なんて本音をこぼすと、キッチンの方から聞こえるか聞こえないかギリギリの声量で
「じゃあ……着替えようか?」という声が聞こえた。
その問いかけに、俺が食い気味で「お願いします」と返事をしたことは言うまでもない。