しらすの彼
仕事帰りに寄ったいつものスーパーは、夕飯の買い物客でごった返していた。
「おじさん、しらす5パックね!」
元気な声が聞こえたのは、私が山盛りのシラスを前にしてまさに1パック頼もうとしてた時だった。
横を向くと、注文したのは背の高い若い男の人だ。その姿を見て、とくん、と胸がなる。
(あの人だ)
「あいよ!」
注文の入ったおじさんは、気前よくパックにしらすをいれていく。ふかふかのおいしそうなしらすを瞬く間に5パック作って袋に入れると、ずい、と私の前に突き出した。
「え?」
「なんだい、食べ盛りの子どもでもいるのかい? おかあちゃんも大変だねえ。はい、1000円!」
「あの……」
私は困惑して、5パックを注文した男の人と目を見合わせる。たまたま二人とも同じような色のスーツを着ていたから、確かに見ようによっては若夫婦と見えないこともない。
私はあわてて首を振った。
「ち、違います!」
「おじさん、しらす5パックね!」
元気な声が聞こえたのは、私が山盛りのシラスを前にしてまさに1パック頼もうとしてた時だった。
横を向くと、注文したのは背の高い若い男の人だ。その姿を見て、とくん、と胸がなる。
(あの人だ)
「あいよ!」
注文の入ったおじさんは、気前よくパックにしらすをいれていく。ふかふかのおいしそうなしらすを瞬く間に5パック作って袋に入れると、ずい、と私の前に突き出した。
「え?」
「なんだい、食べ盛りの子どもでもいるのかい? おかあちゃんも大変だねえ。はい、1000円!」
「あの……」
私は困惑して、5パックを注文した男の人と目を見合わせる。たまたま二人とも同じような色のスーツを着ていたから、確かに見ようによっては若夫婦と見えないこともない。
私はあわてて首を振った。
「ち、違います!」
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