夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜
3、ありがとう、さようなら
2ndアヴェニューにある日本酒バー『友(YOU)』は、モノトーンで揃えたシックな内装に日本画を飾って和と洋を融合させた洒落たお店だった。
ここは1年前に悠が開いたのだという。
今朝、昨夜のお酒と処女喪失の余韻を残したまま目覚めた私は、私の身体を気遣う悠の至れり尽くせりのお世話でのんびりベッドの上で過ごしたあと、午後からこの店に案内された。
日曜日が定休日ということで、今ここにいるのは私たち2人だけだ。
「自分のお店を持っているなんて凄い!」
「以前は他の店でバーテンダーをしてたんだけど、臣海に誘われてKUONホテルに移ったんだ」
昨日バーのカウンターにいた男性がKUONホテルのCEOだったと聞いて驚いたけれど、私も悠も店舗こそ違うものの同じKUONホテルで働いていたということにビックリした。
そして彼が週に1日だけ手伝いに行っていたその日に私が居合わせたということにも、運命を感じずにはいられない。
「このビルの2階に俺の部屋があるんだけど……来る?」
「……うん、行く」
互いの瞳に熱が篭もる。
手を引かれてエレベーターに乗ると、ワンルームのシングルベッドで抱き合った。