夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜
4、夢なんかじゃない
11月最初の週末。
『KUONホテル新宿』のレセプションルームでは企業懇親会が行われており、企業人のみならずその子息も参加して賑わっていた。
企業人の集まりと言いつつも親同伴のお見合いの色合いが濃いもので、資産家がより勢力を拡大するための繋がりを求め、こぞって挨拶を交わしている。
そんなパーティーの場で犬飼重行と対面した私は、早くも絶望で泣きたい気分になっていた。
人を見かけで判断してはいけない。
わかってはいるけれど、落胆せずにはいられない。
180センチほどの高身長に肉付きのいいでっぷりした体型。
かなり量の少ない薄くなった髪をバーコードのようにペタリと頭に撫でつけてある。
細い目元に分厚い唇。脂ぎった額は汗でテカテカしていた。
巨漢、海坊主……いろんな例えが頭に浮かんだが、どんなに言い方を変えようともかなりいやらしい目つきをした年配のおじさんという印象は拭えない。